3 勉強の勧め 夜間の鍼灸学校に通って
受験勉強は嫌いだった。 それが終わると何かあるのだろうと我慢して勉強していた。 大学へ入ったものの、その何
かは登場しなかった。 あれだけ時間がかかった英語はほとんどなんも聞き取れないし、話すこともできない。 悔しい
と思って夜の厳しい専門学校へ毎日通った。 英字新聞、発音、台詞の英語、ビジネスに役立つ英文法など刺激的な内容
だった。 大学では教授が文学ばかり教えていた時代である。 大学の学費は親に頼ったけれど、専門学校の学費は
自分でアルバイトをして支払っていた。 定期テストで一番になると表彰されて次の学期の学費が免除された。 表彰は
どうでもよかったが、学費免除は大きい。 必死で勉強した。 留学するまでに、2回1番を取り、授業料が免除された。
この経験は重みがある。 勉強すると得するのである。 正規留学できるまで、TOEFLの得点が伸びたのも、この専門
学校のおかげだと思っている。 大学は教員免許状を取るには必須だった。 そのころから、この勉強は何に必要かと考
えるようになった。 先走り過ぎて、疲れが残り、病気をするようになったのは、その勉強のやり過ぎだと今ならわかる。
とにかく、女というハンディを背負って生きていく中で、この勉強する姿勢は身を助けてくれた。 顔面神経麻痺という
予想だにしなかった病を出産時に発症し、鍼灸で癒される経験をしながらも、自分が鍼灸の勉強をするという予想は
しなかった。 ただ、教え子さんの中に、鍼灸師や柔道整復師を目指す人が何人かいて、彼らの進路先として調べるうちに
今の仕事をやめない限り、そのような学校へはいけないとわかってきた。 父が体育の教員で柔道整復師の資格をもって
おり、母が私の幼いころ、夜学校へ通ってその資格を取っていたので、夜通える学校はないかなと思っていた。大都市で
はあっても、地方都市では見つけられなかった。 ところが、規制緩和の波を受け、私の勤務していた学校の近くに専門
学校ができ、鍼灸科は夜間であることがわかった。 運命と受け止めて、3年間の厳しい勉強を耐えた。 我が子2人の
教育費も必要で、仕事をやめるわけにはいかず、勉強時間が不足する大変な3年間だった。 でも、それで私に付加価値
がついた。 高校の英語の教員はたくさんいるけれど、鍼灸師の国家資格を持っている人は多分他にはそう見当たらない
だろう。 その上、私はその疲れからか、うつ病を体験する。 これは本当につらい経験だったが、これも今となっては
付加価値になっている。 隠している人が多いけれど、鬱は現代病の代表で、患っている人はたくさんいるのだ。 だから
私が、自分の病気の体験を明かすことは意味があると思っている。 風邪をひいたことを隠す人はそういないだろう。
それと同じくらいのレベルで、鬱を患ったことが話せる土壌になったら、鬱と言う病気が減少していくのではないかと思って
いる。
勉強することは、何をどのようにを視野に入れて、本気になれば、絶対自分が得をする。 ビジネスであれば、
お客様と利益が必ず付いてくるだろう。 だから、これを読んでいる皆さんには勉強をお勧めする。 何をかは、今
置かれている状況によって異なるかもしれない。 それが見えている人は成功も見えてくるはずだ。 但し、健康には
気をつけてください。 すべての基本です。 失敗したからこそ伝えることができます。