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7  健康であること

  私は幼いころから神経質で、寝つきが悪かった。 それなりに、細かいところまで気がつくのでリーダーに選ばれたりし

て自分が病気になりやすいと考えることはなかった。 大学時代に、実家を離れて下宿してからは、生活費を節約して

バランスの悪い食事を取ったりして、その結果風邪をひきやすくなった。 免疫が落ちていったのだろう。 人間の基本

は、「食べて、寝る」ことだと思う。 高校での「家庭科」が男女共修になり、どの人にも生活に必要な基本的知識を得るこ

とができるようになった。 「弁当男子」という言葉も生まれている。 日本の高度成長期のようなエコノミックアニマル的な

働き方は今影を潜めているのかもしれない。 しかし、日本の文化は 「男性中心社会・長時間労働・滅私奉公」 がまだ

強いのではないだろうか。 政治家だって圧倒的に男性が多い。 残業に飲み会にとプライベートは後回しにされがちだ。

その中で、「食べて、寝る」 ことを大切にしてほしいと思う。 もちろん、バランスの良い体に優しい食事と、必要な良い睡

眠である。 これは生活の基本であるので、悪い習慣が積み重なっていくと思わぬ病気にかかったりする。 若い時は

体力もあるので、気付きにくいが、確実に悪癖は自らの体を蝕んでいる。 これをたまたま読んでいるあなたは、その生活

を是非振り返ってほしい。 まだ間に合うかもしれない。

  肉体的な健康とともに、忘れてならないのが、精神的な健康である。 私は不眠症から始まって、人間関係で悩み、

40代に胃潰瘍を繰り返し、ついには鬱病にかかってしまった。 まさしく、現代病を全身で受け止めた感じである。 これを

書くことができるまで回復するには、多くの時間と、たくさんの方の助けが必要だった。 若い皆さんには、他人事のように

思われるかもしれないが、家庭でも職場でも悩みやストレスを抱えている人は多いのではないだろうか。 それは当り前で

あろう。 人が複数集まれば、必ずもめごとはあるものだ。 問題はそのもめごととどのように向き合い、抑圧された気分

や感情をどのようにコントロールするか、発散するかである。 没頭できる趣味のある人は、ストレスに強いといわれる。

起きてから寝るまで「仕事」一色の人は危ない。 「仕事」も死ぬまでするわけではない。 企業であれば定年があるし、、

個人で事業を興した人でも必ず老いて、他の人にそれを任せたり譲ったりするときが来る。 そういう突き放した目で、自

分の仕事を見る目が必要だと思う。 そうすれば、自分に本当に必要なものが見えてくるかもしれないし、目の前のストレ

スも永遠に続くものではないと気がつくだろう。 ビジネスの世界で成功するには、この精神的な健康とタフさがなくては

ならないものだと思う。