トップへ

百人一首

1 天つ風  雲の通い路  ふき閉じよ をとめの姿  しばしとどめむ   僧正遍昭

2 秋風に  たなびく雲の 絶え間より  もれ出る出づる月の  かげのさやけさ  左京大夫顕輔
  

  秋風にふかれて、 たなびいている雲の切れ目から、 もれ出てくる月の光のーー  なんという澄み切った明るさだろうーーーーー。


3 秋の田の かりほの庵の  苔をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ   天智天皇

  
天智天皇が農民の立場に立って詠んだもの 
  実りの秋の取り入れにあたって 田の近くの仮小屋で寝ずの番をしていると 屋根をふいてある苔の目が粗いので
  隙間から漏れ落ちる夜露に、私の袖はしきりに濡れていますよ。


4  明けぬれば 暮るるものとおは 知りながら なほうらめしき 朝ぼらけかな        藤原道信朝臣(ふじわらみちのぶあそ)

  夜が明ければ やがて日が暮れ そうすればまたあなたにお会いできるーーー。  そんなことはわかっているもののーーー。
  やはり、別れて帰らなければならない明け方は、うらめしいものです。

5 浅茅生の 小野のしの原 しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき      参議 等(さんぎ ひとし)

  まばらに、低い茅の生えている野のしの原ーー そのしの原の「しの」ということばではないが、わたしは、しのびにしのんできたのです。
  でも、もう今はこらえきれません。 どうしてこんなにあなたが恋しいのでしょう。
  茅ー野原や道端に群生する多年草。 春、銀白色に輝く花をつける。昔はこれで火口を作ったり、屋根をふいたりした。漢方で強壮剤とする。(イネ科)


6 朝簿らけ 有明の月と見るまでに 吉野の里に 降れる)白雪白   坂上是則
   
   子則が、吉野へ旅行へ行った:土岐のこと。)ふと目がさ寝ると)あたりが馬鹿に明るいのです。)もう夜が明けたのかな。」それとも月の光化.
   是)則歯外へ電¥ました、思わず驚きの声)を挙げなした。いつものにこんなに積もったのだろう。 吉野の里にまぶし場仮の白雪がつもっていたよ



7  あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む   柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)
   
   わたしは恋しい人の訪れもなく、ただ一人さみしく寝なければならないのだろうかーー。 今頃どうしているのかなあーー。

8   朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらわれわたる 瀬瀬の網代木  権中納言定依(ごんちゅうなごんさだより)

  夜がほのぼのと明けて行くころ宇治川一面に立ち込めていた霧がとぎれとぎれに晴れて 晴れたところから 川の浅瀬に仕掛けた)網代木が見えてきましたよ。

9   あはれとも いうべき人は 思ほえで 身のいたづらに なりぬべきかな    謙徳公(けんとくこう)
 
   あなたに見捨てられた今となっては、 もはやわたしをかわいそうにと思ってくれる人もいないだろうから、 わたしはこのまま恋こがれながら、
   きっとむなしく死んでいくにちがいないだろうなあ。

10  あひ見ての 後の心に くらぶれば むかしは物を 思はざりけり        権中納言敦忠
    

   
恋しくて、恋しくて、たまらなかったあの人 でも思いがかなってともに一夜を過ごした後の 悩ましく切ない気持に比べたら あのころの恋しさなどまったく恋しい
   思いの数にはいりませんでした。


11  あふことの 絶えてしなくは なかなかに 人をも身をも うらみざらまし  x中納言あさただ(ちゅうなごんあさただ)

  

    
男と女が愛し合う  そんなことが、この世になければ, 冷たいあの人をうらんだり, 自分のいくじのなさをなげいたりもしないだろうに。

12  天つ風  雲の通い路  ふき閉ぢよ  をとめの姿  しばしとどめむ    僧正遍昭(そうじょうへんじょう)

    ああっ、舞が終わる  天女たちが帰ってしまう  空をふく風よ、 雲のの中の通り道をどうかふき閉ざしてくれ  舞終わって 天に帰って行く天女たちの姿を せめてもうしばらく ここに とどめておきたいのだ

13  天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも   安倍仲磨(あべのなかまろ)

    大空をはるかに見渡すとーーー、今しも月が美しくのぼっているーーー。  ああ、この月はふるさとの春日にある、三笠の山にのぼった、あのなつかしい月なのだなあ。

14  あらざたむ  この世のほかの  思い出に  今ひとたびの あふこともがな   和泉式部

    死ぬ前に もう一度だけ会いたいわ  私はもう死ぬかもしれません  せめてあの世への思い出に  もう一度だけ  あなたに会いたいのです。

15  嵐ふく  三室の山の  もみぢ葉は  龍田の川の  錦なりけり   能因法師

    激しい山嵐がふき散らす三室山のもみじ葉は  そのままふもとを流れる  龍田川の水面をうずめつくして まるで錦を織りなしたように美しい。

16  有明の  つれなく見えし  別れより  暁ばかり  憂きものはなし  壬生忠峯(みぶのただみね)

    あのとき夜ガ明けたというのに、空には月がかがやいていました。  あのとき、夜明けの空に月が冷たく残っていたように、

    あのときから私は夜明けの来るのがつらいー。夜明けが来るたびにあの時のあなたを思い出してしまうから

17  有馬山  いなのささ原 風ふけば  いでそよ人を  忘れやhする  大に三位(だいにのさんみ)

    有馬山」にいく途中の伊那の笹原に秋風が吹くと笹の葉をそよそよと音を立てます。 私があなたにいやだなんて言ったでしょうか。 

    あなたのほうから風が吹けば、私はそよそよとうなずきます。  ねえそうでしょう。  どうして私があなたを忘れたりするでしょうか。