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セロトニン   落ち着きと安定感をもたらす神経伝達物質

セロトニン
とは「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。
セロトニンは人間の精神面に大きな影響与える神経伝達物質で、 セロトニンが不足すると、うつ病などの精神疾患に陥りやすいと言われています。

セロトニンは自然界の動植物に一般的に含まれる物質で、トリプトファンと言う物質から生合成されます。
人体中には約10ミリグラム程度が存在しており、そのうち90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞と呼ばれる細胞内にあり、消化管の働きに作用していると考えられています。体内の残り10%のセロトニンのうち、8%は血小板に収納され、血液の循環を通じて体内を巡ります。残りの僅か2%が脳内の中枢神経に存在し、人間の精神面に大きな影響を与えていると考えられています。

セロトニンの働きが鈍ったり、不足したりするとうつ病などの精神疾患にかかったり、セロトニンの濃度が高くなると中毒症状が現れるなど、私たち人間の精神の安定にセロトニンが大きく影響していると言えます。

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的(キレる)になったり、うつ病を発症すると言われています。


トリプトファン 
体内で合成できない必須アミノ酸の1つ。 タンパク質合成の材料となり、肝臓や腎臓で分解されエネルギーとなる。また、脳へ運ばれセロトニンを作る。

トリプトファンの効果と不足はセロトニンに関わってくる。 鎮痛、催眠、精神安定などに関係する。

ノルアドレナリン    意欲と生き残るために必須の神経伝達物質

神経を興奮させる神経伝達物質。不安や恐怖を引き起こしたり、覚醒、集中、記憶、積極性、痛みを感じなくするなどのはたらきがある。ストレスとの関係も深 く、敵(ストレッサー)に出会った緊急反応の際に自律神経の末端で分泌され、交感神経を刺激。血圧や心拍数を高める作用がある。ちなみに「ノル」とは「正規化合物」「基本の化合物」を表す言葉。ノルアドレナリンの一部が変化したものがアドレナリンである。


ヒトは恐怖・驚愕の体験に遭遇すると青斑核からノルアドレナリンを分泌し、闘争か逃避かの態勢に入り、ストレス体験を終息させるための行動に入ります。 長期間回避不能のストレスにさらされた動物は、やがて無痛覚の症状に至り、ストレスを回避する行動を止めてしまいます。この無痛覚の状態は脳内麻薬様物質 (オピオイド)の作用によるものと考えられています。オピオイドの拮抗物質であるナロキソンが分泌されると、無痛覚の症状は打ち消されれることになりま す。

 長期間回避不能のストレスにさらされた場合、動物実験ではノルアドレナリンが減少します。ノルアドレナリンの使用が合成を上回るようです。そしてこうした体験をもつ個体は、体験を持たない個体が反応しない刺激に対してもノルアドレナリン濃度を減少させます。
 ノルアドレナリン濃度の減少が繰り返された場合、脳内のノルアドレナリン受容体の感受性が上昇して、ささいな刺激に対しても過敏に攻撃・逃避反応をするようになります。
 また、幼少期に愛情剥奪(母親からの隔離)などを受けたサルに少量の麻薬様物質を投与すると、ノルアドレナリン濃度は普通に育てられたサルより上昇し、過敏で攻撃的な状態になります。



ドーパミン       快感を増幅する神経伝達物質

別名「快楽のホルモン」。この物質が分泌されると強い快感を覚え、「うれしい」「わくわくする」といった気持ちで満たされる。性欲や食欲、学習意欲などのさまざまな欲望や意欲が引き出される。


 脊椎近くにある腹側被蓋野  A-10(エー・テン)と呼ばれる  という原始的神経核からはじまって、高度な人間らしさを司る前頭葉まで達している神経路があり、快感神経系と呼ばれています。
 この快感神経系のスイッチを入れるのがドーパミン。ドーパミンは、A-10神経系で作られます。

 快楽神経系が興奮すると、ヒトは快感を感じ、身体の動きが活発になり、ユーフォリア(多幸感。ハイな感じ)を得ます。ドーパミンを過剰に消費するようになると、幻覚や幻聴、妄想などが生じるようになり精神分裂病によく似た症状が出てきます。
 ドーパミンは覚醒剤ととてもよく似た構造を持つので、覚醒剤を使用するとドーパミンが放出された時と同じような「ハイな感じ」を得ることになります。覚醒剤依 存がやがて精神分裂病によく似た症状を来すのも、ドーパミンの過剰消費と同じ原理です。